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特許権侵害において懲罰的損害賠償を認めた初の特許法院判決(確定) |
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故意による特許権侵害行為に対し、特許法上の懲罰的損害賠償規定(第128条第8項)を初めて適用した特許法院判決が言い渡された。本判決は、当該規定を適用して損害額の増額を認めた判決(釜山地方法院2023.10.4.言渡2023ガ合42160判決)に対する控訴審判決(特許法院2024.10.31.言渡2023ナ11276判決)であり、2024年11月26日付で確定した。 |
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本件は、原告企業が被告企業による真空鍋関連の特許侵害に対して損害賠償を請求した事件である。原告は、被告の侵害行為が故意になされた旨を主張し、これにより侵害行為が故意的なものと認められる場合には、損害額の3倍(なお、当該規定が改正されて2024年8月21日から施行された現行特許法では、増額賠償額の上限を3倍から5倍に引き上げている)を超えない範囲で賠償額を増額できるものとする特許法第128条第8項が適用されるべきであると主張した。 |
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被告は、2015年11月30日から2022年10月31日までの期間に侵害行為を続けたところ、法改正により2019年7月9日に施行された旧特許法付則第3条は「第128条第8項及び第9項の改正規定は、この法施行後に最初に違反行為が発生したケースから適用する。」と規定していることから、侵害行為が上記施行日を跨いで発生した上記事件において、当該付則規定をどのように解釈するかが問題となった。これに関しては、施行日前に侵害行為があったならば上記施行日以降に侵害行為が続いているとしても増額賠償規定は適用されないと解する見解(以下、「解釈論①」)と、施行日前の侵害行為に対しては増額賠償規定が適用されず施行日以降に最初に発生した侵害行為から増額賠償規定が適用されると解する見解(以下、「解釈論②」)が対立していたところ、これまでの多くの下級審判決では解釈論①が採択され、増額賠償規定の適用が否定されていた。こうした中で、本件の前審である釜山地方法院2023.10.4.言渡2023ガ合42160判決において初めて解釈論②を採択し、施行日以降の侵害行為に対する増額賠償規定の適用を認めた。 |
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本件の控訴審にあたる特許法院の判決も解釈論②に基づいたものであり、2019年7月9日以降になされた被告の侵害行為に対して増額賠償規定が適用されると判断した。旧特許法付則第3条については「侵害行為の性格(初めての侵害行為であること)を限定する規定ではなく、増額賠償規定が適用される侵害行為の範囲(施行以降に最初に発生した侵害行為から適用)を限定する規定」と解釈した。 |
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本特許法院の判決は、旧特許法付則第3条の解釈に関連し、侵害行為が特許法第128条第8項の最初の施行日である2019年7月9日を跨いで発生したとしても、施行日以降に最初に発生した侵害行為から増額賠償規定が適用されると判断した初の確定判決として大きな意味がある。2024年8月21日に施行された現行特許法では、増額賠償の限度を3倍から5倍に引き上げることにより故意侵害に対してより強力な制裁を課そうとする昨今の立法の動きも併せて考慮するとき、本判決は、施行日を跨いで発生した侵害行為のうち施行日以降の部分については増額賠償規定が適用される点を明らかにする解釈論を提示したものとして、特許権者に対する権利保護を一層強化する契機になるものと考えられる。 |
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