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Newsletter | July 2017, Issue 2
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国際仲裁・訴訟
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ICC仲裁規則の改正 - 迅速手続の導入
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2017年3月1日より、改正された国際商工会議所国際仲裁裁判所(「ICC」)仲裁規則が適用されています。あわせて、当事者及び仲裁判定部に対するICCの実務指針が新たに準備されました。改正された仲裁規則と実務指針では仲裁手続を効率的に進めるための方案が導入されましたが、そのうち特記すべきものがまさに「迅速手続の導入」です。
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改正されたICC仲裁規則は、2017年3月1日以降になされた仲裁合意に対して適用されます。もちろん当事者の明示的な合意により改正仲裁規則の適用を受けることができます。
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仲裁制度は単審制で進められるため、裁判所での訴訟に比べて迅速性が長所として強調されてきましたが、仲裁制度特有の手続(仲裁判定部の構成、判定部構成後の手続に関する協議等)のために不必要に手続が遅れるという主張が絶えず提起されてきました。特に、相対的に小額である事件の場合にも手続が遅れて追加的な費用が発生するという批判がありました。
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このような問題を解決するために改正されたICC仲裁規則では、迅速手続を新たに導入して、より効率的に仲裁手続を進めることができるようになりました。
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ICC仲裁規則の迅速手続をより具体的にみれば、次のとおりです。
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200万ドル以下の事件の場合、自動的に迅速手続が適用されます。200万ドルを超す事件の場合、当事者の合意によって適用が可能です。
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既存のICC仲裁手続には、両当事者が仲裁手続の進行及び仲裁判定部が判断しなければならない争点について合意した事案に対し仲裁判定部が決定を下す Terms of Reference (「TOR」)作成手続が含まれていました。これは、仲裁判定部が円滑に仲裁手続を進められるようにするものの、これのために過度に遅れが出るという批判も提起されてきました。新たに導入された迅速手続では TORの作成を要しません。
一方、当事者が仲裁合意により3人の仲裁判定部に合意をしたとしても、迅速手続の適用を受ける場合、当事者の合意にかかわらずICC Courtで1人の仲裁人によって仲裁を進めることができます。
通常のICC仲裁手続では、仲裁判定部の構成が完了した後も、TORが決定される前までであれば当事者が各自新しい主張をすることができました。しかし、迅速手続では、より迅速な手続進行のために、仲裁判定部の承認がない限り、当事者は仲裁判定部が構成される前までのみ新しい主張をすることができ、その後は原則として新しい主張ができないものと規定しました。
さらに、迅速手続で進められる場合には、仲裁人の判断により、反対審問をはじめとする審理期日なしで、当事者が提出した書面だけをもとに仲裁判定を下すことができるようにしました。
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迅速手続での仲裁人費用は、既存の一般ICC仲裁手続より20%ほど低く策定され、より合理的な費用で小額事件を進めることができるようになりました。
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このように改正されたICC仲裁規則により、200万ドル以下の事件は審理期日等を省略して短期間内に合理的な費用で仲裁手続を進めることができるようになりました。最も多くの仲裁事件を扱うICCがこのように迅速性と透明性を高めようと試みた点は、今後改正される他の仲裁機関の仲裁規則にも大きな影響を与えるものとみられます。
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