KIM&CHANG
Newsletter | December 2015, Issue 3
知的財産権
ソウル中央地方法院、Trade Dressの模倣も不正競争行為に該当
昨年末、ソウル中央地方法院の民事13部で、不正競争防止法第2条第1号(コ)目を最初に適用したソフトリー事件の判決が下された後、最近、同裁判所の民事12部でも「ソウル恋人アンパン」事件でブランドロゴ、外部の看板、売場の配置及び内部インテリアなど、いわゆる「trade dress」に対し上記(コ)目の条項を適用した判決を言い渡し、trade dressの無断模倣に警鐘を鳴らしました(2015710日言渡2014ガ合529490判決)。
即席プレミアムアンパンの専門店である「ソウル恋人アンパン」が人気を集めていたところ、「ソウル恋人アンパン」のパン職人が退職し、売場のデザインをそのまま模倣するなど実質的に同じコンセプトの営業を始めました。「ソウル恋人アンパン」は、類似の売場の出現による売上の下落とフランチャイズ事業の拡張への支障を懸念し、退職したパン職人(「被告」)を相手取って不正競争防止法第2条第1号(コ)目に基づき、侵害差止及び損害賠償を求める訴えを提起しました。
裁判部は、原告の売場のブランドロゴ、外部の看板、売場の配置及び内部インテリアなどは既存のベーカリーと差別化を図るために、原告が相当な投資と労力をかけて作った成果物であるにもかかわらず、被告はこれとほぼ同じ標章などを使って売場を開場・運営しましたが、これは原告の労力と投資に便乗して原告の顧客吸引力を無断で利用する行為であり、不正競争防止法第2条第1号(コ)目所定の不正競争行為に該当するとみて、原告の請求を認容しました。
  原告 被告
ロゴ
外部の看板
売場の配置及びデザイン
本件は、trade dressの模倣行為を上記(コ)目の条項により規制したという点の他にも、被害に対する実質的な救済の必要性を認め、実損害の賠償を指し示したという点で意味があります。一般的に、trade dressの模倣により被る損害がいくらなのかを証拠をもって認めることが容易ではありませんが、裁判部は模倣行為の期間全体に占める被告の売上高に原告である「ソウル恋人アンパン」の利益率を乗じた金額全額を損害額として認めました。
上記事件で、当所は原告を代理して本件を勝訴に導きました。
* 不正競争防止法第2条第1号(コ)目の不正競争行為:競合者が相当な労力と投資により構築した成果物を商道徳や公正な競争秩序に反して自身の営業のために無断で利用することで、競合者の労力と投資に便乗して不当に利益を得、競合者の法律上保護する価値のある利益を侵害する行為
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