KIM&CHANG
Newsletter | December 2015, Issue 3
訴訟
誇張された燃費表示に対する損害賠償請求の防御
最近、自動車の燃費誇張による虚偽表示を理由に自動車所有者が自動車メーカーを相手取って提起した複数の民事上損害賠償請求訴訟で、自動車所有者の請求が棄却される判決が続々と言い渡されています。
自動車メーカーは、自動車を発売する際に、燃費を国家機関に事前申告しなければなりません。ところが、国家機関が燃費の事後検証をしたところ、事前申告されたものより低い燃費が測定されたという事実が確認され、マスコミで報道されました。そのため、自動車所有者が虚偽の燃費表示による損害(燃料費の差額、慰謝料)を賠償せよという民事訴訟を提起しました。
本件裁判において当所は、自動車メーカーを代理して、(1)燃費を事前申告する方法には、自動車メーカーが直接燃費を測定してその結果を事前申告する方法と、自動車メーカーが国家機関の指定した公認の測定機関に燃費測定を依頼してその結果を事前申告する方法があるが、本件は後者である点、(2)公認測定機関の結果値と異なる表示をすれば過料の対象である点、(3)燃費の事後検証時に自動車を選別する主体は、燃費の測定機関であって自動車メーカーではない点、(4)燃費は、測定方式が法で定められているが、測定時ごとにある程度の誤差が発生し得る点、(5)燃費の事後検証結果をそのまま信頼できない事情があった点、(6)燃費の事後検証で燃費がいくらか低く測定されたとしても、それが消費者の購買行為と因果関係にあるとは限らない点等を主張・立証し、その結果、自動車所有者の請求が棄却されました。
上記のような主張を立証するために、当所は、燃費の事前申告制度と事後検証制度に関する法令と実務的な手続を分析し、燃費測定方式と測定時の変数に対する技術的な検討を行いました。
上記のような判決は、現在進行中の他の同様の訴訟にも大きな影響を与えるものと予想されます。
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