KIM&CHANG
Newsletter | December 2014, Issue4
知的財産権
共有特許権に対する共有物の分割請求を認めた大法院事案
特許法第99条第2項及び第4項は、特許権の共有の場合、共有者が(1)持分の譲渡、(2)持分を目的とする質権設定、(3)専用実施権の設定及び通常実施権の許諾をしようとする場合、他の共有者の同意を得るようにしています。このような規定を置いた理由は、第三者が投入する資本の規模・技術及び能力などにより、他の共有者の持分の経済的な価値に予想外の変動が発生することを防止するためです。一方、特許法には共有関係の解消のために共有特許権に対する分割請求ができるかどうかに関して何の規定も置いていません。共有特許権を民法上「共有」と解釈すれば、民法第268条第1項が適用されて分割請求が認められますが、「合有」と解釈すれば、民法第273条第2項が適用されて分割請求できないので、実務において、果たして共有特許権に民法のどの条項が適用されるか、すなわち、共有物の分割請求が許容されるかどうかについて論議がありました。これに関連して、最近、大法院で共有物分割請求を肯定する判決を下しましたので、これをご紹介します。
本件で、AK社は重量物の荷役作業用ワイヤーロープ輪の製造方法に対する特許権を共有していましたが、Aが死亡するとすぐに、その相続人であるBがK社を相手取って特許権に対する分割請求訴訟を提起しました。下級審裁判所はBの勝訴を言い渡し、これにK社が上告しましたが、上告審でも原審をそのまま確定しました。
具体的に、大法院(201341578)は、共有物分割請求権を認めるとしても、共有者以外の第三者によって他の共有者の持分の経済的価値に変動が発生するとみるのは難しく、特許法第99条第2項及び第4項に反しないという点、共有物分割請求を禁止する特許法規定がないという点を考慮して、特許権の共有関係に民法上の共有物分割請求に関する規定が適用されるとみました。ただし、特許権の対象は形体がないだけでなく、各共有者に特許権を付与する方法の現物分割を認めれば、一つの特許権が事実上内容の同じ複数の特許権になる不当な結果をもたらすことになるので、現物分割は許容されず、共有特許権を競売に付し、その代金を持分比率により分配する代金分割方法によらなければならないと判示しました。
この判決により、今後、共有関係の解消を望む共有者の立場では、共有物分割請求を活用できるようになりました。しかし、代金分割方法により分割せざるを得ないため、当該特許権が第三者に競売される場合、当該特許発明を実施しようとする他の共有者の立場としては、不測の被害を被る可能性もあります。したがって、共有特許権の分割を望まない共有者としては、他の共有者と5年の範囲内で分割禁止約定をし(民法第268条第1項)、これを登録原簿に登録しておく方法(特許権の登録令第26条第2項第4号)を考慮する必要があります。
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