KIM&CHANG
Newsletter | December 2014, Issue4
人事・労務
退職給与制度の最近の動向
最近発表された退職給与制度の変更に関する政府施策と、退職金ないし退職年金の差押え範囲に関する意味のある判決をご紹介します。
1. 政府の退職年金の活性化対策法案
最近、政府は雇用労働部と企画財政部長官などが参加した経済関係長官会議を通じて退職金制度の廃止を含む退職年金の活性化案を発表しました。このような案が施行されれば、201611日以降に開始する事業年度からは、退職給与引当金の損金処理ができなくなっている法人税法第33条第1項とあいまって、一線企業の退職年金制度への加入がさらに加速するものと予想されます。主な内容は以下のとおりです。
退職年金制度での漸進的な一元化
政府は退職金/退職年金に二極化している現行の退職給与制度を退職年金に一元化することを目標に、2016年から段階的に、2022年には全面的に退職年金制度を義務付けて関連法令を改正する案を検討しています。ただし、これによる企業負担が加重しないように、改正法施行以前の既存の勤労期間に対する退職金の維持は容認される予定です。
併せて、現行の勤労者退職給与保障法は20127月以降に新設される事業場に対して設立1年以内に退職年金制度を導入しない場合、退職金制度を設定したものとみなす規定を置いていますが、政府案によれば、みなし規定は削除され、設立1年以内に退職年金を導入しない場合、過料など罰則規定が新設される予定です。
勤続期間1年未満の勤労者に対しても退職給与の特典を付与
現行の勤労者退職給与保障法上、退職給与の加入対象は勤続期間が1年以上になった勤労者であるのに対し、政府案によれば、勤続期間1年未満の勤労者も退職給与の特典を受けることができる道が開かれることになります。
退職年金受給権の保護を強化
政府は、企業破産などによる勤労者の受給権の侵害を防ぐために、確定給与型退職年金制度の社外積立比率を2020年までに現在の70%水準から100%に徐々に向上させる予定です。
2. 退職給与債権の差押えの範囲
勤労者退職給与保障法上、退職年金制度の給与を受ける権利に対しては、その全額に関して差押えが禁止されますが(大法院2014123日言渡201371180判決)、最近の下級審判例は、「勤労者退職給与保障法で退職年金制度と退職金制度を区別して規定していることを根拠に、退職年金と異なり、退職金を受領する権利に対しては1/2まで差押えが容認される」という判決を言い渡しました(大邱地方法院2014926日言渡20143113判決)。
上記の下級審判決は、退職年金と退職金を区分して、退職年金に対しては全額差押えが禁止されるものの、退職金に対しては依然として1/2まで差押えが許容されるという点を明確にしたという点で意味があるといえます。ただし、これに関しては、今後、上級裁判所の判決を見守る必要があります。
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