KIM&CHANG
Newsletter | September 2014, Issue3
国際仲裁・訴訟
シンガポール国際調停院の開院及び国際商事裁判所の設立予定
これまでシンガポール政府は新たな国際紛争解決機関の設立を推進し、20143月にはシンガポール国際調整院(Singapore International Mediation Center、SIMC)を開院し、2014年秋頃にはシンガポール国際商事裁判所(Singapore International Commercial Court、SICC)を設立する予定です。
今年3月に開院したシンガポール国際調停院は、シンガポール国際仲裁院(Singapore International Arbitration Center、SIAC)の仲裁手続と緊密に連結されています。シンガポール国際調停院は、国際仲裁事件の当事者が合意する場合、事件の初期段階に当該事件を別途の調停手続に回付するようにする、いわゆる「仲裁-調停-仲裁(Arb-Med-Arb)」手続を適用できるようにしました。関連規定によれば、手続の中立性を担保するために、当該調停は仲裁判定部とは別途に選ばれた調停人が担当することになり、調停が成立しなくても調停で議論された内容は仲裁判定部に公開されません。このような「仲裁-調停-仲裁」手続に対してはすでに進行中である国際仲裁事件の手続を過度に遅延させず、かつ当該紛争の早期終結を図るという点が最も大きなメリットと言われています。
さらに、今秋に設立される予定のシンガポール国際商事裁判所は、シンガポール裁判所の一部を構成しつつも国籍が異なる当事者間の商事紛争を専担する新しい類型の司法機関で、当事者が管轄を合意した事件及びシンガポール一般裁判所に提訴された事件のうち大法院が国際商事裁判所に移送する事件を担当することになります。シンガポール国際商事裁判所で下された判決に対しては控訴が可能で、一般訴訟と同様に第三者の訴訟参加が許容されるので、仲裁手続より訴訟を好む当事者の間でその需要が高まると予想されています。また、同裁判所に提起された事件のうちシンガポール以外の他の国の法を準拠法としたり、シンガポールと実質的な関連のない事件に対しては、外国弁護士が事件を代理できるように許容する予定で、準拠法が韓国法の紛争の場合、韓国弁護士を選任することでシンガポール国際商事裁判所における訴訟を行うことができます。
上記のような新しい類型の国際紛争解決機関の導入により、各種契約書上の紛争解決条項の作成における選択の幅が広がりました。ただし、上記の二機関いずれもその手続が完全に確立されておらず、また経験も蓄積されていないので、十分な検討なくこれを利用する場合、予想していなかった困難に直面する可能性があります。したがって、各種契約書の紛争解決条項を作成する場合には、初期から紛争専門家と相談して最善の選択をするのが望ましいです。
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