KIM&CHANG
Newsletter | September 2013
訴訟
自動車急加速事件で勝訴
最近、韓国の裁判所では、自動車の急加速欠陥(defect)を主張する製造物責任訴訟2件に対する判決がありました。
各ケースにおいて、原告側が急加速であると主張する根拠は、次のとおりでした。
Case 1
本件事故車両が撮影されたCCTVカメラを分析した結果、事故車両の速度は超高速である時速255kmであった。
本件車両のECU内部の溶接部に空洞が観察されるところ、「空洞(void)→クラック(crack)→Latch-up→急加速」というメカニズムによって本件車両が急加速したと推定される。
Case 2
本件事故車両は、冷却水(coolant)の温度が100度以上に上がる欠陥があり、車両の使用説明書などで急加速事故の危険性を警告していないのは「表示及び警告上の欠陥」に該当する。
本件車両のエンジン制御装置(engine control unit)の欠陥によって車両が急加速したのである。
双方の攻防の末に、裁判所は下記のような被告側の主張を受け入れ、原告敗訴判決を言い渡しました。
Case 1
原告が主張する速力は、CCTVの1秒当たりのフレーム(frame per second)を間違って計算したものである。
本件車両は、事故当時、ブレーキランプが点灯しておらず、事故後もブレーキシステムに異常はなかった。
原告が主張する急加速のメカニズムは、米国のBelt博士が提示した「Latch-up→急加速」という仮説を拡張したものであるが、Belt博士の理論は米国NASAによってすでに反駁され、ECU内部の空洞の存在が急加速を起こすという科学的根拠はない。
Case 2
本件車両は、エンジン制御装置に異常信号が発生した場合には、エンジンの出力が制限される縮小運転(limp home mode)に切り替わり、このような異常を診断コード(diagnosis code)に記録することになっているが、本件車両の診断システムにはエンジン関連の異常コードが保存されていない。
冷却装置(cooling system)と加速または制動装置には全く関係がない。
当事務所は上記2件において被告側を代理し、事務所内の専門家と有機的な協業を通じて技術的な側面から裁判所を説得するのに成功し、勝訴判決を引き出しました。
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