KIM&CHANG
Newsletter | December 2013
国際仲裁
国際紛争の解決のための緊急仲裁人制度の活用の増大及びその影響
最近、主な国際仲裁機関の緊急仲裁人(Emergency Arbitrator)を通じた臨時処分制度の活用が増えています。通常、開始時点から仲裁判定部の構成まで数ヶ月がかかる国際仲裁の特性を悪用し、一方当事者が執行免除目的で資産を詐欺的に譲渡ないし隠匿する場合がありました。緊急仲裁人制度は、国際仲裁の実効性を制限するこのような行為を禁止及び予防するために導入された制度で、正式仲裁人が選任される前に緊急臨時処分(Emergency Interim Relief)を命じられるようにし、最近、臨時処分の範囲も単純な資産の凍結だけでなく、他国での訴訟を制限する、いわゆるanti-suit injunctionに拡大しています。
最近、私ども金・張法律事務所が外国の船主を代理したシンガポール国際仲裁センター(SIAC)の仲裁の件においても、緊急仲裁人が、一方当事者が韓国の裁判所に提起した仮処分申立の撤回を命じる臨時処分を下した例があります。
本件は、船舶買収契約に関連して韓国の造船所と外国の船主間で紛争が発生すると、自身が提供した支払保証(on-demand bond)を船主が行使することを懸念した造船所が韓国の裁判所に支払の差止を求める仮処分を申し立てた件です。船主はSIACに上記の仮処分に対する緊急臨時処分及び緊急仲裁人の選任を申請し、SIACが任命した緊急仲裁人は、船主の申請により造船所に仮処分申立の撤回を命じる緊急臨時処分を下しました。当時SIACは船主側の申請日からわずか2日で緊急仲裁人を選定し、同緊急仲裁人は各当事者間の書面交換及び1日の審理期日を経て3週間で上記の処分を下しました。
SIACは、2010年の改正仲裁規則で緊急仲裁人制度を導入して以来、現在まで約30件の緊急仲裁人件を処理し、他の主な仲裁機関も類似した様相をみせています。緊急仲裁人制度は国内裁判手続にも直接的かつ即刻的に影響を及ぼすほど当事者の権利及び義務に影響を及ぼしますので、各会社では緊急仲裁人制度のある仲裁規則による仲裁合意をした場合、紛争の初期から紛争専門家とこれを活用する可能性ないしこれによるリスクを検討するのが望ましいと考えられます。
メインページ一覧
本ニュースに関するお問合せは、下記までご連絡下さい。
尹柄喆 (ユン・ビョンチョル)
bcyoon@kimchang.com
任炳宇 (イム・ビョンウ)
bwim@kimchang.com
盧炫植 (ノ・ヒョンシック)
hyunshik.noh@kimchang.com
詳細については、幣事務所のホームページをご覧下さい。
www.kimchang.com 関税及び国際通商