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特許の存続期間延長期間に海外での臨床試験期間等が含まれるべきであることを再確認した特許法院の判決

2023.07.12

特許法は、医薬品の特許につき、医薬品を販売するには事前に品目許可を取得しなければならない点を考慮し、特許発明を実施できなかった期間に対する特許期間の延長を許可しています。ところが、特許庁は、実務上、海外での臨床試験期間と許可申請企業が食品医薬品安全処(以下「食薬処」)の補完要求に対応するために要した期間は延長された存続期間として認めていませんでした。特に、補完期間については、「特許権者等の責めに帰すべき事由により要した期間」(以下「帰責期間」)は特許発明を実施できなかった期間に含めないという特許法の規定を根拠に延長をしませんでした。 

しかし、当事務所は特許権者であるノバルティス(Novartis)を代理し、2023年7月5日、海外での臨床試験期間と医薬品の品目許可手続において許可申請企業が食薬処の補完要求に対応するための期間は、いずれも特許権の存続期間延長期間に含まれるという特許法院の判決を勝ち取りました。特許法院は、2020年に続き、またしても特許庁の実務と相反する判断を下したわけです。

ノバルティスは、糖尿病治療薬の有効成分であるビルダグリプチンに対する物質特許権者として、当該医薬品の品目許可を受けるために要した期間のうち2年2ヶ月23日について特許期間の延長登録を受けました。これに対し、国内のA社等が上記期間のうち一部は延長登録されてはならない期間であったため無効であると主張し、存続期間延長登録無効審判を請求しましたが、無効であると主張する期間には、海外での臨床試験期間132日(以下「期間1」)と食薬処の補完要求に対応した期間55日(以下「期間2」)が含まれていました。

特許審判院は、第1次審決で期間1及び期間2に対する存続期間延長登録はいずれも無効であると判断しましたが、特許法院は、期間1に対する延長登録は有効であると判断し、特許審判院の審決を取り消しました。これに対し、ノバルティスが期間2を無効と判断した特許法院の判決について大法院に上告をしましたが、大法院は、特許法院が特許審判院の審決を取り消した以上、上告の利益がないとしてノバルティスの上告を却下しました。確定した特許法院判決により第1次審決が取り消しとなったことで、特許審判院は存続期間延長登録の無効審判手続を再開し、その審判で期間1及び期間2に対する延長登録はいずれも有効であると判断しました。今回、特許法院は、その審決について国内のA社等が提起した審決取消訴訟において審決と同じ結論の判決を下したのです。 

特許法院は、①薬事法等の関連法令は、医薬品の輸入品目許可を受けるために「安全性·有効性に関する試験成績書」を提出するものとしているだけで、そのための臨床試験を国内の臨床試験に限定せず、国内の臨床試験資料と海外の臨床試験資料を別様に取り扱わなければならない合理的な理由が見当たらない点、②実際にノバルティスの薬品の許可に海外での臨床試験の結果が反映されたといえるので、海外での臨床試験の所要期間は本件許可を受けるのに必要な期間であったとみるのが妥当である点等を理由として挙げ、期間1を特許権の延長された存続期間から除外する理由がないと判示しました。 

食薬処の補完要求への対応に要した期間を帰責期間として推定できるかについては、①関連法令上、補完期間を帰責期間として法律上推定したり、みなすという規定を設けておらず、判例及び品目許可の実務上、食薬処内のある審査部署の補完要求による補完期間の所要に特許権者等の帰責事由があると推定する根拠がない点、②特許権者に、全ての資料が完備してから品目許可申請及び審査依頼をして全ての審査手続が同時に進行するようにしたり、個別の審査を依頼する際に必要な審査資料を全て具備して提出する注意義務があるとみることができない点、③食薬処は高度な専門性に基づいて裁量的な判断により品目許可を決定するので、関連規定上で要求される資料が形式的に備わっているかによって品目許可がなされるとは断定し難いだけでなく、特許権者等の資料提出義務が、その資料提出に関する食薬処の補完要求がある可能性を排除したものであるとみるのは難しいという点等を理由に挙げ、補完期間、すなわち、期間2を特許権の延長された存続期間から除外する理由がないと判示しました。

特許法院の判決は、海外での臨床試験期間と補完期間を特許の延長期間から一律除外している特許庁の実務と相反します。A社等が特許法院の判決に対し上告しているため、今後の推移を見守る必要があります。

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