KIM&CHANG
Newsletter | July 2017, Issue 2
税務
利益消却対価の所得区分及び所得金額計算に対する最近の判決
改正前商法に基づいて利益として株式を消却する場合、利益消却の対価は所得税法上擬制配当所得に該当し、その所得金額を計算するときには取得価額を控除しなければならないという趣旨の大法院判決が下されました。

本件は、会社が利益剰余金で株式を均等消却して外国法人である株主に取得価額より少ない消却対価を支給する際、株式消却による擬制配当規定が適用されるとみて所得金額が存在しないという理由で税額を源泉徴収しませんでしたが、課税官庁は(1)消却の財源が利益剰余金であるという点、(2)均等消却として消却後の株主の経済的地位(持分率)に差がないという点を根拠に、実質的に現金配当と同一であるとみて所得金額計算時の取得価額控除を否認して支給された消却対価の全てに対して課税した事案です。

これに対して1審は、株式の利益消却が擬制配当所得には該当するが、会社の資本が変動しない以上株主としては投資元本を依然として保有するという理由で取得価額を控除しない課税処分は正当であるとみました。

弊事務所は控訴審で、(1)商法と所得税法の文言上、資本の減少を伴わない株式の消却も擬制配当に含まれると規定しているという点、(2)利益消却の場合にも株主が所有する財産の経済的実質に差がないとみるのは難しいという点、(3)利益消却の際に取得価額を控除しないならば不合理な結果がもたらされる可能性があるという点等を浮き彫りにし、控訴審は原告の請求を認容しました(ソウル高等法院2016105日言渡201567472判決)。これに被告が上告しましたが、大法院が審理不続行棄却判決を言渡して上記の控訴審判決がそのまま確定しました(大法院2017223日言渡2016ドゥ56998判決)。

本判決は利益消却対価の所得区分に関する税法上の争点に関して判断した意味ある判決であるだけでなく、現行商法が利益消却に対する規定を置いていないという点を勘案すれば、理事会の決議によって会社が保有する自己株式を消却する場合の諸般の問題に対して影響を及ぼす可能性のある重要な判決であると判断されます。
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