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Newsletter | July 2017, Issue 2
税務
国家別報告書の提出義務者及び作成範囲に対する告示を制定
企画財政部は2017321日、「国家別報告書の提出義務者及び作成範囲に対する告示」を制定告示しました。これは2016年に「国際租税調整に関する法律及び施行令」の改正を通じて多国籍企業の租税回避(Base Erosion and Profit Shifting,「BEPS」)防止プロジェクト関連の国家別報告書の提出を義務化したことに続き、提出義務者及び作成範囲について細部的な規定を用意したものです。
BEPSは、利益が発生する事業活動場所から利益を分離して他の場所に人為的に移転させることによって、各国別の税法の差又は二者間租税協約の盲点を活用し、租税回避効果を企てる形態です。
BEPSを防止するためには全世界的な参加が必要であるため、OECDBEPSプロジェクトを発足させてBEPS防止モデル・方策を考案すると共に、各国家においてこのようなモデルと方策に従うことを勧告しています。これに伴い、韓国政府も税法を改正したり、BEPS防止策のうち可能な方策から順に導入しています。そのうち、韓国政府が最も先に導入した部分は「移転価格文書の再検討」です。これは、従来から提出されてきた移転価格文書の内容をより忠実に作成して提出するように強制するものであり、これを通じて韓国と他国の課税官庁が多国籍企業のBEPSを防止するための基礎資料を収集することができるようになります。
BEPS防止策に伴う移転価格文書には、統合報告書(Master File)、個別企業報告書(Local File)、国家別報告書(Country by Country Report,「CbCR」)が存在しますが、このうち統合報告書と個別企業報告書の作成は2015年の税法改正時にすでに導入されており、2016年末の「国際租税調整に関する法律」の改正によって追加で導入されたものはCbCRです。CbCRは多国籍企業のグループ内関係会社に関する国家別収益内訳、税前利益・損失等に関する事項を含む情報で、多国籍企業の経済活動内容を含む所得及び税金のグローバル配分を扱っています。
CbCRの提出対象者、作成内容、提出期限、提出形態、国家別報告書の国家間交換日程、適用時期は下記の通りです。ご参考までに、2017321日に告示された「国家別報告書の提出義務者及び作成範囲に対する告示」の内容を反映しました。
1. 提出対象者
1) 多国籍企業の最終親会社である内国法人(国内支配企業として最上位連結財務諸表を作成する者)で、直前年度の連結財務諸表の売上高が1兆ウォンを超過した企業
2) 但し、外国多国籍企業の親会社が、(1)その所在地国で国家別報告書の作成義務がないか、(2)韓国と国家別報告書の交換がなされない国家に所在する場合等には、多国籍企業の国内子会社又は国内支店に提出義務を付与(国外支配株主の売上高がその所在国家の法令上国家別報告書の提出義務がある場合であれば、法令上基準金額を超過する場合を意味する。もし、当該所在国家にCbCR提出義務がなければ、75,000万ユーロを超過する場合に作成)
2. 「国家別報告書の提出義務者に関する資料」の提出義務
1) CbCR提出要件を満たす国内支配企業あるいは国外支配株主の国内子会社又は国内支店は、事業年度終了日から6ヶ月以内に企画財政部令が定めるところにより「国家別報告書の提出義務者に関する資料」を納税地の管轄税務署長に提出しなければならない。もし国外支配株主の国内子会社又は国内支店が期限までに国家別報告書提出義務者に関する資料を提出しない場合、当該国内子会社又は国内支店が国家別報告書を提出しなければならない。
2) 「国家別報告書の提出義務者に関する資料」を提出しない場合には、事業年度終了日が属する月の末日から12ヶ月以内に国家別報告書を提出しなければならない。但し、国家別報告書の提出義務者の関連資料を提出期限内に提出した下の者は、CbCR提出義務が免除される。
同じ多国籍企業グループの他の国内関係会社が国家別報告書を代表で提出する場合
最終親会社が第三国に所在する関係会社に国家別報告書を代理提出させるようにし、当該所在地国と韓国間で国家別報告書が正常に交換される場合
3. 作成内容
多国籍企業グループの国家別所得配分内訳、国家別税前利益・損失、国家別所得・法人税納付額、国家別資本金、国家別主要事業活動等
4. 提出期限
親会社の事業年度末から12ヶ月以内(統合企業報告書及び個別企業報告書の提出期限も、現行の法人税申告期間から、事業年度末から12ヶ月以内に同一に延長され、やむを得ない事由により期限までに提出できない場合、納税地の管轄税務署長の承認を得て提出期限を1年の範囲において延長できる)
5. 提出形態
韓国語及び英語の報告書を電子的形態で納税地の管轄税務署長に提出
6. 国家別報告書の国家間交換
各国の課税官庁は2017年末までに提出された国家別報告書を多者間協定に基づいて他の国家と2018年から交換する予定であり、現在韓国を含む57ヶ国が多者間協定(MCAA)を締結している(20175月基準)。ちなみに、OECD加盟国のうち未締結国は米国とトルコである。
7. 適用時期
201711日以降に提出する分から適用(事業年度が201611日に開始した会社の場合、20171231日までに提出しなければならない)
韓国と各国政府は多国籍企業のグローバル租税回避が深刻であるという認識を共有しており、このような認識の下にBEPSを防止するための第一歩として納税者が課税当局に提出しなければならない移転価格文書を規定し、直ちに今年の末から提出するように強制しています。したがって、課税当局に提出しなければならない移転価格文書を予め準備して提出期限を遵守することが必要です。
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