KIM&CHANG
Newsletter | July 2017, Issue 2
企業法務
株主名簿の効力に関するの大法院の全員合議体判決
最近大法院は、「株式会社の株主を誰とみなければならないのか」に関して株主名簿の効力に対する従来の判例を変更しました。
すなわち、過去には形式よりは実質を重視し、株主名簿の記載にかかわらず実質的な株式の所有関係を重視することが確立された大法院判例の立場でした。
ところが、上記の全員合議体判決では、上場会社の実質株主名簿上の株主が会社を相手に株主総会決議の取消等を求めた事件において、株主名簿に株主と記載されている者だけが会社に対する関係においてその株式に関する株主権を行使することができると判断しました(大法院2017323日言渡2015248342判決)。会社も特別な事情(株主名簿への記載又は名義書換請求が不当に遅れたり拒絶された等の極めて例外的な事情に限る)がない限り、株主名簿上の株主の株主権の行使を否認できないとみました。
このような全員合議体判例の趣旨に従うならば、(1)株式引受及び譲受契約により株式の引受代金又は譲受代金を全て納入したにもかかわらず株式の引受及び譲受に関して商法上の形式的手続(名義書換)を履行できなければ株主と認められず、(2)他人の名義を借りて会社の株式を引受けて代金を納入した場合(名義信託)にも実質上の株主である名義借用人ではなく形式上の株主が株主と認定され、(3)会社が名義書換をしていない実質上の株主を自ら株主と認定することもできなくなります。
上記の大法院の全員合議体判決は株主総会決議の効力を争う脈絡において問題になったものですが、今後(1)株式名義信託関係(租税問題を含む)、(2)株式名義信託がある会社に対する買収合併及び投資関連実査手続、(3)いわゆる名義書換失期株に対する議決権、配当受領権等の権利認定の可否、(4)株式売買に関する紛争又は経営権紛争等の過程における紛争対象株式に対する会社の株主権認定の可否、(5)各種少数株主権の行使における株主の資格等の様々な局面において上記の判例が考慮されなければならないものとみられます。
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