KIM&CHANG
IP Newsletter/ May 2017
知っておくべき韓国の特許取消申請制度の特徴
弁理士 金鎮伯
201731日以降に設定登録された特許権に対しては、何人でも設定登録から登録公告後6ヶ月までに特許取消理由を提供する場合、審判官合議体が該当登録特許を再検討して一定の誤りがあれば早期に特許を取消すことができるようになった。特許取消申請制度の主な内容に関しては、前回のニュースレターで扱ったが、日本の特許異議申立制度と比較して主な相違点を見ると、次の通り。
1.特許取消申請の理由の制限
日本では新規事項違反、外国人の権利能力、新規性、進歩性、公序良俗違反、先願、条約違反、記載不備、外国語書面出願の原文新規事項違反を理由に異議申立が可能であるが、韓国では新規性、進歩性違反、または、先願、拡大された先願の違反に対してのみ、特許取消申請が可能である。
.審査過程で引用された先行文献の使用可否
日本では審査過程で引用された先行文献に基づいて異議申立が可能だが、韓国では審査過程で引用された先行文献(ファミリー特許含む)「のみ」では特許取消申請をすることができない。ただし、審査段階では引用されていない文献を組み合わせて特許取消申請に使うのは可能である。
なお、審査過程で引用された先行文献について、請求項との関係は問わない。すなわち、審査過程で従属項を拒絶させるための根拠に使われた先行文献の場合、登録後に従属項でない独立項を取消すために同じ先行文献を使うことはできない。
.審判官との面談可否
日本では特許異議申立がある場合、特許権者は該当審判官に面談を要請することができるが、特許異議申立人の要請による審判官面談は許容されない。しかし韓国では、特許権者だけでなく、特許取消申請人も本人の意見を審判官に陳述するために、規定上、申請人の面談を禁止していないため、面談をすることができるよう制度を運営するとのことである。
韓国での特許取消申請制度は日本の特許異議申立制度と実務上、類似している部分も多くあると見られるが、本制度の利用時、前記の相違点に留意する事が望ましい。
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