KIM&CHANG
Newsletter | July 2016, Issue 2
公正取引
公取委、ソフトウェアのメンテナンスサービスにアップグレードの権限を含めて販売した行為等に対して無嫌疑で終結
公正取引委員会(「公取委」)は、2016412日、当事務所がオラクル社を代理した事件で全て無嫌疑決定を下しました。本件で公取委市場監視局は、オラクル社のDBMS(Database Management System;データベース管理システム)の顧客が、DBMSソフトウェアのメンテナンスサービスを受ける際に、当該ソフトウェアに対して今後リリースされるアップグレードを受けない権限を許容しなかったことと、顧客が保有しているDBMSソフトウェアのライセンスの一部に対してのみメンテナンスサービスを受け、残りはメンテナンスサービスを受けないことを許容しないオラクル社の政策が、独占規制及び公正取引に関する法律(「公正取引法」)の違反であると主張しましたが、公取委の全員会議は2回の審議を経て、以上のいずれも公正取引法違反に該当しないという決定を下しました。
公取委市場監視局は、DBMSソフトウェアのメンテナンスサービスにアップグレードが含まれていることについて、当初メンテナンスサービスといわゆる「メジャーアップグレード」が別個の市場(商品)であるとみて、市場支配的地位の濫用行為と不公正取引行為として抱き合わせ販売に該当すると主張しました。しかし、公取委の全員会議は、DBMS市場はDBMSソフトウェアとメンテナンスサービス、そしてメジャーアップグレードを含む「システム市場」に該当するため、メンテナンスサービスとメジャーアップグレードを別個の独立した商品とみるのは難しく、このような政策による価格上昇や競合事業者の減少など競争制限効果も見つからないという点を理由に、抱き合わせ販売の嫌疑に対して無嫌疑決定を下しました。
さらに、公取委市場監視局は、オラクル社が顧客が保有しているソフトウェアのライセンスのうち、同じライセンスセットに属する全てのライセンスに対して、同じ水準のメンテナンスサービスを維持するようにしたのが市場支配的地位の濫用行為であり、事業活動の妨害行為(不利益の強制)及び不公正取引行為として取引上地位を利用した購入の強制に該当すると主張しました。しかし、公取委の全員会議は、このようなオラクル社の政策は知識財産権の侵害及び無断使用を防止するための合理的措置で、不当であるとみるのは難しく、顧客がオラクル社とライセンス契約を締結した当時、契約書に上記政策が含まれているためその内容を顧客が知ることができ、顧客が上記政策を希望しない場合は他の競合事業者を選択することができるという点、また、競争制限効果が見つからないという点を根拠に、上記嫌疑に対しても無嫌疑決定を下しました。
本件で当事務所は、法的、経済的、技術的争点に関して防御論理を提示し、全て無嫌疑決定を導き出しました。
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