KIM&CHANG
Newsletter | July 2016, Issue 2
知的財産権
特許法改正案
特許侵害訴訟において特許の侵害事実と損害額の立証をより容易にする特許法改正案が201633日に国会本会議を通過し、2016630日から施行されています。改正特許法の主な内容は次のとおりです。
1. 提出命令の事由と対象の拡大
従来の特許法は、「損害額の算定」に必要な場合、裁判所が当事者に「書類」の提出を命じることができると規定していましたが、改正特許法は、提出命令の事由に「損害額の算定」に必要な場合だけでなく、「特許侵害の証明」に必要な場合も含め、提出命令の対象も「書類」から「資料」に拡大しました。提出命令の対象が拡大された結果、特許権者は侵害者が文書で保管しているもの以外に、電子的形態で管理している各種情報と図面等に対しても証拠を確保することができるようになりました。その結果、従来に比べて、侵害事実と損害額の立証がより容易になるものと期待されます。
2. 営業秘密に該当するという資料にも提出義務を付与
従来は、裁判所の提出命令があっても、侵害者が営業秘密であることを理由にこれを提出しないことがしばしばありましたが、改正特許法では、営業秘密に該当するという事実だけでは、資料提出拒否の正当な理由にならないという点を明確にしました。即ち提出資料が営業秘密に該当するとしても、侵害の証明または損害額の算定に必要であれば、提出拒否の正当な事由に該当せず、資料の所持者はこれを提出しなければなりません。なおこの場合、裁判所が提出命令の目的内で閲覧できる範囲または閲覧できる者を制限できることとしました。これにより、営業秘密資料が提出される場合、裁判所によってその閲覧当事者が訴訟の代理人に限定されることになるため、事実上、米国法上のAttorneys’ eyes only制度が今回の特許法改正を通じて導入されたものと評価することができます。
3. 資料提出命令に応じない場合の制裁強化
改正特許法は、資料の所持者が正当な理由なしに裁判所の提出命令に応じない場合、裁判所が「資料の記載に対する相手方の主張を真実」なものと認めることができるようにしました。さらに改正特許法は、1)資料提出命令を申請した当事者が資料の記載に関して具体的に主張することが著しく困難な事情があり、2)資料で証明する事実を他の証拠により証明することも期待し難い場合には、裁判所が「その当事者が資料の記載によって証明しようとする事実に関する主張を真実」なものと認めることができるようにしました。このように、文書の所持者が正当な理由なく資料提出を拒否する場合、裁判所が特許権者の「特許侵害」、「損害額」など要証事実に関する主張まで真実なものと認められるようになりました。従って改正特許法では、特許侵害、損害額の立証がより容易になるものと期待されます。
今回の改正特許法により、特許権者が侵害事実及び損害額を従来より容易に立証できるようになったことで、特許侵害訴訟を通じた権利救済がより活性化すると予想されます。
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