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Newsletter | July 2016, Issue 2
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放送・通信
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捜査機関の要請による電気通信事業者の個人情報提供に関する大法院判決の紹介
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最近、大法院は、令状なく行われた捜査機関の資料要請に応じて、利用者の同意なしにその個人情報を提供した電気通信事業者に損害賠償責任を認めた原審判決(ソウル高等法院2012年10月18日言渡2011ナ19012判決)を破棄差戻ししました(大法院2016年3月10日言渡2012ダ105482判決)。
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原審判決は、電気通信事業者は捜査機関の要請により通信資料を提供することができると規定している電気通信事業法に基づいて行なった情報提供については、当該規定は一般的な捜査協力義務を確認しているだけであるため、電気通信事業者が捜査機関の個人情報提供要請に従う義務はなく、電気通信事業者としては、各事案ごとにその提供可否等を審査し、利用者の個人情報を実質的に保護するための十分な措置を取る義務があるにもかかわらず、このような義務に違反して捜査機関に利用者の個人情報の一切を提供した行為は違法であると判断しました。
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しかし大法院は原審とは異なり、捜査機関が電気通信事業法上の通信資料提供要請をする場合、電気通信事業者に各事案の具体的な内容を検討し、その提供可否等を実質的に審査する義務があるとみることはできないと判断しました。さらに、捜査機関が捜査のために電気通信事業法によって電気通信事業者に通信資料の提供を要請し、これに対して電気通信事業者が法令で定めた形式的・手続的な要件を審査して、検事または捜査機関の長に利用者の通信資料を提供したのであれば、捜査機関が通信資料の提供要請権限を濫用し、情報主体または第三者の利益を不当に侵害することが客観的に明白な場合であるなど特別な事情がない限り、利用者の個人情報自己決定権や匿名表現の自由等が違法に侵害されたとみることはできないと判断しました。
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結局、今回の大法院判決は、捜査機関の電気通信事業法による通信資料提供要請に対し、電気通信事業者がその内容を実質的に審査せずに電気通信事業法に明示されている通信資料を提供したとしても、違法であるとみることはできないと判断したという点に意味があります。
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しかし、大法院判決によっても、電気通信事業者は通信資料提供要請の形式的・手続的な要件を審査する義務があり、検事または捜査機関の長が権限を濫用して通信資料の提供を要請するものであることが客観的に明白な場合であるなど特別な事情がある場合には、例外的に通信資料の提供の違法性が認められ得るという点に留意する必要があります。
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