KIM&CHANG
Newsletter | July 2016, Issue 2
環境
「環境汚染施設の統合管理に関する法律」の制定・公布
20151222日に「環境汚染施設の統合管理に関する法律」(「統合環境管理法」)が制定・公布され、201711日から施行される予定です。これは、「大気環境保全法」、「水質及び水生態系保全に関する法律」など個別の法律に散在していた10余りの許認可が事業場ごとに統合される等、環境汚染施設に対する設置許可制度を全面的に改編したものと評価されています。
統合環境管理法は、汚染物質の排出が多い20余の業種に属する大規模事業場(水質及び大気関連の第1種及び第2種事業場)を適用対象としますが、2017年には電気業、蒸気・冷温水及び空気調節供給業及び廃棄物処理業の3業種に対してのみ適用し、その後、適用業種を段階的に拡大し、2021年からは全ての対象業種に適用される予定です。適用対象に該当する既存の事業場の場合、施行日から4年間猶予期間が与えられているため、2020年12月31日までに新しい許可制度により統合許可を取らなければなりません。
統合環境管理法の適用対象となる場合、現行の制度と比較して主に下記の点が変化します。
1. ŸŸ 現行制度の下では企業が6つの法律によってそれぞれ取得しなければならない10の許認可が一つの許可に統合され、一つの統合許可を取れば、個別に許可を取る必要がありません。
(1) 「大気環境保全法」による大気排出施設の設置許可・申告
(2) Ÿ「大気環境保全法」による飛散粉塵発生事業の申告
(3) 「大気環境保全法」による飛散排出施設の申告
(4) 「大気環境保全法」による揮発性有機化合物排出施設の設置申告
(5) 「騒音・振動管理法」による騒音・振動排出施設の設置許可・申告
(6) 「水質及び水生態系保全に関する法律」による廃水排出施設の設置許可・申告
(7) 「水質及び水生態系保全に関する法律」による非点汚染源の設置申告
(8) 「悪臭防止法」による悪臭排出施設の申告
(9) 「土壌環境保全法」による特定土壌汚染管理対象施設の申告
(10) 「廃棄物管理法」による廃棄物処理施設の設置承認・申告
2. 業種別に利用可能な最善の手法(Best Available Techniques、「BAT」)を選定し、BATによる優秀環境技術を事業場に適用することとしています。
3. 全ての事業場に画一的に適用されていた排出許容基準の代わりに、業種及び事業場の特性とBATの適用等を考慮し、事業場別に排出基準を設けて適用する予定です。
4. 許可官庁は、5~8年周期で許可事項を見直しする予定であり、事後管理も随時・抜き打ちの取締りに依存せず、技術診断を中心に指導・点検し、ピーク値ではなく統計値を適用して排出基準超過を判断する予定です。
5. 環境部長官は、統合許可に関して事業場別に事前協議をすることができますが、その事前協議に対する検討内容及び結果、統合許可に関する情報、その他環境部令で定める情報を公開しなければなりません。
統合環境管理法の導入により、企業の立場では、各種許可を一度に取得できたり、事業場の状況に合った排出基準が適用されるようになるため簡便であり、規制の遵守が容易になる面があります。
しかし、新規許可を取得するのに長い時間がかかる可能性があり、BATを導入するに当たって経済的な負担が生じることもあると予想されます。
特に、産業別、業種別のBAT及び最大排出基準の設定により、事業場別の基準設定に影響を及ぶことになるため、これに関連する環境部の動きをチェックする必要があります。また、現在、施行令及び施行規則が制定されていない状態であるため、これらが立法予告されれば、検討が必要になります。さらに、統合環境管理法は、情報公開に関する事項を規定しているため、その範囲及び公開方法に関しても注視する必要があります。
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