KIM&CHANG
Newsletter | November 2016, Issue 3
税務
適格分割要件の内容及び範囲を明確にした高等裁判所の判決
内国法人である甲が2008年に仁川工場事業部門を物的分割して分割新設法人を設立したところ、 仁川広域市は、法人税法上の適格分割要件を備えていないとして、取得税及び登録税等を分割新設法人に課税し、国税庁も同じく上記分割が適格分割でないとみて、資産譲渡差益に対する法人税及び付加価値税等を甲に課税しました。
弊事務所では甲と分割新設法人を代理して課税取消訴訟を提起し、ソウル行政法院(法人税事件)、仁川地方法院(地方税事件)から課税処分はいずれも違法であるという判決を勝ち取りました。これに対して課税官庁が控訴しましたが、最近、控訴審でもすべて納税者の勝訴判決が言い渡されました。
上記の事件で法人税法上の適格分割要件に関する数々の重要な争点が扱われ、ソウル高等法院は以下のような理由で課税官庁の控訴を棄却しました。
1. 独立した事業部門の分割
分割対象が分離して事業が可能な独立した事業部門に該当すれば、法人税法上の適格分割要件に該当するとし、分割法人の特定の事業部門全体ではなく特定の事業場を分割したとしても、独立した事業部門の分割要件を満たすと判断しました。
2. 資産及び負債の包括的承継
適格分割に対する課税特例(課税繰延)の趣旨に照らして、分割する事業部門の必須の資産または分割する事業部門の営業活動と直接的な関係がある資産が承継されたとすれば、包括的承継の要件が満たされるという点を明確にしました。
3. 承継した資産の1/2以上を直接使用
分割新設法人が承継した製造業を独自に営みながら相当な業務を外部に委託し、都市開発法上の土地所有者の地位で外部役務会社を通して都市開発事業に必須の活動を遂行したとすれば、承継した資産を直接使用したとみるのが相当であると判断しました。
国税と地方税が同時に課税された今回の事件は、国内における租税訴訟史上、単一争点に対する賦課処分を争う事件のうち最大規模の事件であり、適格分割要件の具体的な内容及び範囲を詳細に判断するなど、今後の企業構造再編実務において参考にすべき先例として大きな意味を持っています。
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