KIM&CHANG
Newsletter | November 2016, Issue 3
放送・通信
忘れられる権利(インターネット自己掲示物アクセス排除要請権)のガイドライン
世界的にいわゆる「忘れられる権利」の導入が活発に議論されるなか、国内でもこれに関連するガイドラインが制定されました。放送通信委員会は各界各層の多様な意見を取りまとめ、2016429日、利用者本人がインターネット上に掲示した掲示物に対し他人のアクセス排除(アクセス排除とは、掲示物を削除しないものの、本人以外に他の利用者は内容が見られないようにすることをいいます)を要請できる権利である「インターネット自己掲示物アクセス排除要請権」に対するガイドライン(「ガイドライン」)を設けました。
今回のガイドラインは法的拘束力がなく、事業者の自主的な遵守をベースに施行されるものですが、今後、法制化に向けた礎石として、事業者の運営上の困難、試行錯誤などが制度に反映されるものと予想されるので、情報通信網を利用して掲示板を直接管理・運営する情報通信サービス提供者(「掲示板管理者」)、または情報通信網を利用した検索サービスを提供する事業者(「検索サービス事業者」、掲示板管理者とともに以下「事業者」)は、特に関心を持つ必要があるとみられます。特に、同ガイドラインは国内で韓国語でサービスを提供する海外事業者に対しても適用されるという点を明確にしています。
ガイドラインによる自己掲示物アクセス排除要請の内容は下記のとおりです。
1. 利用者本人(「要請人」)によるアクセス排除要請
ガイドラインによる自己掲示物アクセス排除要 請権は、会員脱退、または1年以上アカウント不使用等により会員情報が破棄され、要請人が直接自己掲示物を削除することが困難な場合に限って認められます。
すなわち、自身の掲示物に対する他人のアクセス排除措置を希望する利用者は、まず自分で直接自己掲示物を削除できるかを確認しなければなりません。もし自分で直接掲示物を削除することが困難な場合は、(1)一次的に掲示板管理者に対し、インターネットに掲載されている自己掲示物のアクセス排除を要請することができ、(2)掲示板管理者によるサイト管理中断等の「特別な事由」によって掲示板管理者がアクセス排除措置を取らない場合は、二次的に検索サービス事業者に対して要請することができます。このように検索サービス事業者が例外として自己掲示物アクセス排除要請の相手方となる「特別な事由」とは、(1)掲示板管理者が事業を廃止した場合、及び(2)その他掲示板が事実上運営されておらず、掲示物へのアクセス排除が難しいと検索サービス事業者が判断した場合をいいます。
2. 事業者によるアクセス排除判断措置
掲示板管理者のアクセス排除
掲示板管理者は、要請人が提出した多様な立証資料を総合的に考慮し、当該掲示物が要請人の自己掲示物であると判断した場合、遅滞なく当該掲示物に対してブラインド処理方法によるアクセス排除措置を取らなければなりません。このようなブラインド処理方法によるアクセス排除措置は、虚偽の申請等により不当に掲示物が削除される可能性に備えたものです。
検索サービス事業者によるアクセス排除
上記のように掲示板管理者がアクセス排除措置を取った場合、検索サービス事業者はアクセス排除の要否を別途判断する必要なく、要請人または掲示板管理者のアクセス排除通知書に基づいてキャッシュ等を削除する方法によりアクセス排除措置を取らなければなりません。
しかし、上述のように掲示板管理者の特別な事由により、例外的に要請人が検索サービス事業者に直に検索目録の排除を要請する場合、検索サービス事業者は掲示板管理者と同様、立証資料を総合的に考慮して当該掲示物が要請人の自己掲示物であると判断される場合、当該掲示物を検索目録から排除する方法によりアクセス排除措置を取らなければなりません。
アクセス排除の拒絶及び例外基準
「自己掲示物アクセス排除要請権」、は「自分で直接自己掲示物を削除することが困難な場合」に「自己掲示物」に対して認められる権利であるため、要請人が直接当該掲示物を削除することができる場合、または立証が十分でないと判断される場合には、自己掲示物アクセス排除要請を拒否することができます。
さらに、要請人本人が直接自己掲示物を削除することが困難な場合で、自己掲示物であることが立証された場合であっても、当該掲示物が(1)他の法律または法令で委任した命令等によりアクセス遮断または削除が禁止され、掲示板管理者等が当該掲示物の保存義務を負っている場合(裁判所の証拠保全決定等により保存義務がある場合等を含む)、または(2)アクセス排除の要請があった掲示物が公益と相当な関連性を持つ場合(すなわち、政務職公務員など公人が自己の公的業務に関連して掲示した掲示物である場合あるいは公職者及びマスコミ関係者などが掲示した掲示物がその業務に関するもので、公的関心事に当たる場合)には、事業者はその判断の下、アクセス排除要請を拒否することができます。
3. アクセス排除結果の通知及び第三者の異議申立
アクセス排除結果の通知
提出資料によって自己掲示物であることが立証され、アクセス排除措置が取られた場合、事業者はアクセス排除決定掲示物及びURL、アクセス排除日時等を要請人に通知し、当該掲示物に対して掲示者の要請によってアクセス排除措置を取ったという事実を第三者が分かるように公示しなければなりません。自己掲示物であることが立証されなかったり、アクセス排除例外基準に該当してアクセス排除要請を拒否した場合も、事業者はその事由等を要請人に通知しなければなりません。
第三者の異議申立
一方、アクセス排除措置後に当該掲示物を掲示したのは要請人ではなく自身であると主張する第三者は、事業者にアクセス再開を求める事由及びこれに対する立証資料を添付してアクセス再開を求めるなど、異議申立をすることができます。この場合、事業者は異議申立の事由が立証されたと判断すれば直ちにアクセス再開措置を取り、アクセス排除要請人及び異議申立人にアクセス排除結果通知と同じ方法により、アクセス再開掲示物、アクセス再開予定日、アクセス再開事由等を通知しなければなりません。
政府は、上記ガイドラインの施行を控え、削除要求権限に対して例外を置かないものと方針を確定し、これまで議論になっていた「対価を受け取って書き込んだ商品評価」、「ネイバー知識人のように質問と回答を一つの著作物とみることができる掲示物」に対しても包括的な削除が可能になりました。
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