KIM&CHANG
Newsletter | November 2016, Issue 3
企業一般
大宇造船海洋に対する履行保証金の減額を認めた大法院判決
大法院は、714日に大宇造船海洋の売却に関連し、買取人ハンファコンソーシアムが売渡人産業銀行及び韓国資産管理公社を相手取って提起した履行保証金返還請求訴訟で、契約上、履行保証金条項に「違約罰」という明示的な表現があるにもかかわらず、損害賠償額の予定に該当すると判断し、下級審の判決を覆す判決を言い渡しました。
まず、大法院は、契約金または履行保証金の名目で支払われる違約金の性格に関し、当事者の意思及び諸般の事情を総合的に考慮して判断するものの、違約金は、民法上損害賠償の予定として推定されるので、違約罰とみるためには、特段の事情が主張・証明されなければならないという既存の確立された法理を再確認しました。また、(1)了解覚書上、全ての金銭的問題は履行保証金の没取によってのみ解決するものと定めており、(2)ハンファコンソーシアムは、協議の過程で確認実査なしに最終契約を締結するリスクに対し合理的に判断することができず、(3)履行保証金没取条項に対し異議を提起できない状況であった点等を根拠に、本件履行保証金は、最終契約の締結を強制し、今後の損害賠償問題を解決するためのものなので、損害賠償額の予定に該当すると判断しました。
違約罰は、公序良俗に違反しない限り、減額することができないものの、不当に多い損害賠償額の予定は、裁判所の裁量により減額することができ、大法院は、(1)了解覚書上、大宇造船海洋の資産価値に対する表明・保証条項はなく、ハンファコンソーシアムに対する違約金条項のみ存在する点、(2)莫大な履行保証金が支払われたにもかかわらず、確認実査の機会が全くなかった点等を考慮し、了解覚書の解除による売渡人の損害は、最終契約が有効に締結されると信じていたことに対する「信頼利益相当の損害」に限定されるので、没取された約3,150億ウォンの履行保証金は、不当に多い金額であるため、減額されなければならないと判断しました。
本判決は、履行保証金が「違約罰」であることを明示する文言があったにもかかわらず、その法的性格を、違約罰ではなく、損害賠償額の予定として判断して減額したという点で、注目すべき判決と評価されます。したがって、今後、契約の締結にあたり、履行保証金条項をもって違約罰または損害賠償額の予定を設ける場合には、文言のみならず、契約の締結経緯及び当該条項の機能等を総合的に考慮し、紛争の余地を未然に防止する必要があります。
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