KIM&CHANG
Newsletter | November 2016, Issue 3
知的財産権
特許法院の侵害訴訟控訴審審理マニュアルの制定
特許法院は、2016316日、侵害訴訟控訴審審理マニュアル(「審理マニュアル」)を制定・公表しました。これは201611日から特許・商標・デザイン・品種保護権(「特許等」)に関する侵害事件の控訴審が特許法院の専属管轄となったことを受け、侵害訴訟控訴審の具体的な手続を規定するためのものです。
審理マニュアルは、侵害訴訟控訴審事件における手続の協議、主張・抗弁の提出期限の指定、争点別の集中審理など弁論手続の進行方法と、証拠申請及び調査方法などに関して規定しています。審理マニュアルの特に目立った点は次のとおりです。
1. 米国のCase Management Conferenceに相当する手続の制定
審理マニュアルは、多数の米国連邦地方裁判所で運営しているCase Management Conferenceに相当する「事件管理テレビ会議」の手続を設けました。すなわち、裁判所が訴訟当事者らと映像・音声の送受信によって同時に通話をする方法で、(1)弁論期日の日時及び回数、各期日別の弁論の争点、(2)主張及び証拠の提出期限、(3)専門家証人など期間を要する証拠を申請するか及び期限、(4)当事者による技術説明会を実施するか、(5)調停手続に回付するかどうか、(6)争点確認及び整理のような手続の進行に関する協議を行うことができるようにしました。さらに、「事件管理テレビ会議」で協議された内容については、裁判所が米国のScheduling Orderに似た「手続に関する準備命令」を発令することができるようにしました。ただし、審理マニュアルでは準備命令で定めた期限を守らなかったときの制裁や不利益については明示しておらず、今後の特許法院の具体的な実務運営を見守る必要があります。
2. 争点別に弁論期日の運営が可能
審理マニュアルは、(1)幾つかの請求が併合されていたり、争点が複数であるため請求項、そして争点別に集中審理を行う必要がある事件、(2)請求項の解釈が争われ、その解釈によって残りの争点に対する主張が変わってくるため請求項の解釈に対する審理を先に行うべき事件、(3)その他争点別に集中審理が必要な事件に対し、裁判所が訴訟当事者らと協議して、弁論期日を争点別に運営することができるようにしました。したがって、米国のMarkman hearingのような、請求項の解釈だけのための弁論期日の運営も可能になりました。
3. 専門家証人に関する具体的な手続を制定
審理マニュアルは、特許訴訟においてよく使用される専門家証人に対する具体的な手続規定を設けました。すなわち、(1)専門家証人を申請する際には証人の専門性と客観性を確認することができる基本陳述書を添付しなければならず、(2)専門家証人の尋問のために必要な事項、すなわち専門家証人の陳述書及び証人尋問事項の提出期限、証人尋問時間の制限、専門家証人による証言の信憑性を弾劾する主張及び証拠の提出期限などに対して裁判所が準備命令をすることができ、(3)主尋問は専門家証人の陳述書の範囲内でするものと規定しています。専門家証人に対する詳細な手続規定が設けられたので、今後の特許訴訟において専門家証人が一層活発に活用されるものと予想されます。
4. 控訴審で新たな主張・証拠を提出する際は理由を提示
審理マニュアルは、控訴審において新たに主張する事項や新たに申請する証拠がある場合、当該主張及び証拠を第1審で提出できなかった理由を明らかにするように規定しています。このように新たな主張・証拠を提出するときには理由を明らかにするようになったことで、1審での充実した主張・証拠の提出がより重要になりました。
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