KIM&CHANG
Newsletter | September 2015, Issue 2
放送・通信
エンターテインメント企業と放送事業者間の合併取引
国内有数のエンターテインメント会社であるアイエイチキュー(「iHQ」)と放送チャンネル使用事業者であるシーユーメディアは、各社の保有する優れたコンテンツ制作能力と流通チャンネル間のシナジー効果を創出し、競争力を向上させるために、iHQがシーユーメディアを吸収する形での合併を決定し、2015317日に無事合併手続を終えました。また、本件合併対価として発行されたiHQの合併新株98715945株を2015331日に有価証券市場に迂回上場させることにも成功しました。
本件は、芸能企画及びコンテンツ制作を主たる事業とするエンターテインメント会社と放送コンテンツの流通を主たる事業とする放送チャンネル使用事業者間の合併として国内最大規模の取引でした。また、既存の放送チャンネル使用事業者が消滅し、合併後の存続法人がこのような事業者の地位を承継しなければならなかったため、これに関連する様々な許認可問題が発生し、特に、迂回上場に対する参入審査基準が強化されてから有価証券市場に迂回上場した初の事例で、その意味が大きい事案であったといえます。
当事務所は、iHQとシーユーメディアの両社を代理し、本件に関連する一切の法律諮問にあたりました。特に、企業M&A、資本市場、放送・通信専門グループ所属の弁護士が各社のための専担チームを構成し、本件合併に関連する諸般の法律問題を検討して効果的な解決方法を提供することによって、国内で前例のない取引を首尾よく完了できるようにしました。特に、放送チャンネル使用事業者の地位の承継に際し、現行の法令上明確でない手続を規制機関と速やかに協議して合理的な対案を提示することによって、放送事業に関連する政府の承認を速やかに取得することができました。今後、コンテンツ制作事業者とこれを流通する事業者間の戦略的な協業が増加するものと期待されるため、本件はこのような流れにおける象徴的な合併事例と評価することができます。
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