KIM&CHANG
Newsletter | September 2015, Issue 2
税務
株式売買残金の金銭消費貸借転換に対する判決
20153月、特殊関係人間の株式売買取引において、残金支払前に株式の所有権を移転した場合の、残金の税法的性格に関する大法院判決がありました。
本件は、原告である内国法人が特殊関係人に子会社の株式を譲渡するにあたり、売買代金の5%は契約金として売買契約締結日に、さらに5%は中間金として売買契約締結日から1ヶ月後に、残金は年5%の利息を加算して売買契約締結日から2年後にそれぞれ受け取ることにし、中間金の受け取りと同時に株式の所有権を移転した事例です。本件において課税当局は、残金は株式の所有権移転日から実質的に金銭消費貸借に転換され、また事業に関連しない仮払金とみなして、内国法人に対し認定利息相当額と実際に認識した利息収益との差額を課税所得に加算し、支払利息は損金否認して法人税を課税しました。
高等法院は原告が自身の主たる事業と関連のない事業を整理するために子会社の株式を譲渡したことは、原告の事業に関係することであり、残金を2年後に受け取ることにしたのは、最初に売買契約を締結する際に互いに約定しており、中間金の受け取りと同時に株式を譲渡したからといって、残金が株式譲渡日から金銭消費貸借に転換されたとは見難いと判断しました。このような高等法院の判決は、大法院でそのまま認められました。
本件は売買代金のうち残金の支払が通常より長期で、かつ残金支払前に当該資産が譲渡された特殊関係人間の取引です。上記判決はこの条件で取引することを当初から約定した契約当事者の意思を尊重して資産売買取引の外観をそのまま認めたところに意味があるといえます。
当事務所は原告を代理し、不当な行為計算否認規定と業務に関係のない仮払金の範囲などに対する深い分析及び検討を基に、大法院を含む各審級でいずれも原告勝訴判決を受けることができました。
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