KIM&CHANG
Newsletter | April 2015, Issue1
訴訟
決算調整事項である貸倒引当金の損金算入時点の決定は法人の選択(大法院判決)
韓国大法院(最高裁判所)は、銀行と系列カード会社間の合併に関連し、貸倒引当金の損金算入時点に対する納税者の選択権を尊重しなければならないという趣旨の判決を言い渡しました。
銀行は2003年に金融監視委員会から銀行中心の系列カード会社の再編を要求され、系列カード会社との合併を推進しました。カード会社は、合併日である20039月末基準の決算上のカード債権に対する貸倒引当金の積立可能金額の12,664億ウォンを積み立てませんでした。銀行は、カード会社を上記状態で合併し、カード会社の資産・負債をそのまま承継した後、承継債権に対する貸倒引当金を合併後に積み立て、損金算入しました。これに対し、課税官庁は、カード会社が貸倒引当金を積み立てて損金算入すべきであったにもかかわらず、企業会計に違反して貸倒引当金を積み立てず、合併後に銀行が租税負担を削減したのは不当であるという理由で、法人税及び地方所得税約4,121億ウォンを課税しました。
これに対し、大法院は、法人税法上の貸倒引当金は、法人が決算に反映してはじめて損金とみる決算調整事項に該当するので、法人がある債権に関して貸倒事由が現実的に発生した時にはじめて損金と認識するか、それとも推定損失により貸倒引当金を設定する方法で貸倒事由が現実化する前に事前に損金と認識するかどうかは、その法人の選択次第であると判断しました。大法院はこのような法理を適用し、たとえカード会社が関連規定に違反して貸倒引当金を設定していない場合であっても、法人の選択権を否認して損金が発生したものとみることはできないと判断しました。
当事務所の税務調査及び租税争訟専門グループは、納税者を代理して課税官庁との熾烈な法理争いの末、今回、大法院勝訴の判決を引き出しました。また、本件と同様に、カード会社が決算上貸倒引当金の積立後、最低法定限度額のみを損金算入し、その超過額13,964億ウォンをカード会社と合併した銀行が承継して損金算入したところ課税した事例においても、当事務所が租税審判院の認容決定を引き出しました。
上記判決は、決算調整事項に対して納税者の選択権を尊重し、巨額の租税減少の結果が発生しても、税法が認めた選択権は否認できないことを確認したという点で大きな意味があります。
メインページ一覧