KIM&CHANG
Newsletter | September 2014, Issue3
知的財産権
緊急な保護の必要性がないという理由で特許侵害差止仮処分申請を棄却した事例
ソウル中央地方法院(地方裁判所)第50民事部は2014423日、CUCKOO電子がLihom-cuchenを相手取って提起した特許侵害差止仮処分申請を棄却しました。
仮処分は、本案訴訟によって権利の有無が確定する前にあらかじめその執行を保全する制度です。したがって、裁判所はあらかじめ執行の保全が必ず必要な場合にだけ仮処分を認容することになり、それが「保全の必要性」という要件です。この事件で裁判所は、仮処分認容要件の一つである「保全の必要性」が認められないという理由で特許権者であるCUCKOO電子の仮処分申請を棄却しました。
裁判所は、(1)特許権者が特許侵害事実を知った時点から相当期間にわたり侵害製品の販売を黙認してきた点、(2)被申請人であるLihom-cuchenの市場占有率の上昇が特許権侵害によるものであると断定できない点、(3)本来の特許権者自身は国内で特許発明を実施せずにいる点、(4)被申請人の売上全体で当該製品が占める売上の比重が高く、仮処分認容時に発生する被申請人の損害の程度が非常に大きいという点などを考慮し、「保全の必要性」を否定しました。
上記の事件の被申請人Lihom-cuchenを当事務所が代理しました。
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