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Newsletter | June 2014, Issue 2
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知的財産権 |
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商標の識別力認定時期を権利範囲確認審決時とみた大法院判例 |
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2014年3月20日に言い渡された大法院全員合議体(最高裁大法廷)判決(2911フ3698)は、従来の大法院判決を変更して、「登録商標の全部または一部の構成が登録決定当時には識別力がなかったり、微弱であったとしても、その登録商標を全体としてまたは一部の構成部分を分離して使用することで、権利範囲確認審判の審決時点に至っては需要者の間に誰の商品を表示するものか顕著に認識されている程度になり、中心的な識別力を有することになった場合には、これを基に商標が類似しているかどうかを判断しなければならない」と説示し、注目されます。
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上記の判決は、ユニスター株式会社(以下「ユニスター」)が運動靴に使用する標章( 、以下「確認対象標章」)がNew Balance Athletic Shoe,Inc.(以下「ニューバランス」)が傘・運動靴等の指定商品に対し1984年に初めて登録した商標( 、以下「本件登録商標」)の権利範囲に属するかどうかが問題となった事件に関するものでした。
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大法院は、本件登録商標を構成する「 」部分と「 」部分は登録決定当時には識別力が微弱だったが、ニューバランスが世界各国で各種運動靴に「 」という商標(以下「実使用商標」)を付着して販売した結果、少なくとも2009年頃からは需要者の間で実使用商標が誰の商品を表示するものなのか顕著に認識される程度になったので、本件登録商標で少なくとも実使用商標と同じ「 」部分は本件権利範囲確認審判の審決当時には需要者の間に商品の出所を認識できるようにする中心的な識別力を有すると見做されなければならないとしました。そして、確認対象標章の構成の中では、アルファベット「N」を普通の書体でやや斜めに書いた「 」部分が需要者の注意を引く中心的な識別力を持つ部分になるが、本件登録商標と確認対象標章が共に「運動靴」に使用される場合、それぞれ中心的な識別力を持つ「 」部分と「 」部分で呼称・観念になり得、これらが互いに同一なので一般需要者をして商品の出所に関して誤認・混同を起こすおそれがあり、結局両標章は互いに類似しており、ユニスターの確認対象標章はニューバランスの本件登録商標の権利範囲に属すると判断しました。
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従来、大法院は、商標に関する権利範囲確認審判で登録商標の構成のうち登録決定当時に識別力がない部分は、権利範囲確認審判の審決当時の使用による識別力を取得したとしても、登録商標で中心的な識別力を持つ部分になり得ないものと判示していました。従来の判例は、上記の大法院全員合議体判決により廃棄されましたが、大法院は今回の判決で権利範囲確認審判における判断は商標権侵害訴訟や登録無効審判に拘束力がなく、単に登録商標の権利範囲を確認する限定的な機能を遂行するに過ぎず、登録商標に関する無効審決が確定しない限り、登録商標としての効力はそのまま維持されるという点などを考慮したものとみられます。
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今回の大法院判例の変更により、商標登録以降の当該商標の一部構成に対し識別力を取得した商標権者への保護が拡大する効果が期待されます。
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