KIM&CHANG
Newsletter | June 2014, Issue 2
訴訟
喫煙による損害賠償訴訟に対する大法院の判決言渡
韓国大法院(最高裁判所)は、喫煙によって肺癌を発病して死亡に至ったと主張し遺族が国とタバコ会社を相手取って提起した損害賠償請求訴訟に関する判決を言い渡しました。
大法院は、上記の判決で、被告が製造したタバコに設計上及び表示上の欠陥がなく、その他に通常期待できる安全性が欠如した欠陥があるとみる証拠はないと判示しました。
具体的に、設計上の欠陥については、タバコ消費者は安定感などニコチンの薬理効果を意図して喫煙をするが、ニコチンを除去するとこのような効果を得ることはできない点などを考慮すると、ニコチンやタールを完全に除去できる方法があるとしても、これを採用していないこと自体を設計上の欠陥であるとみることはできず、被告が喫煙によるタバコ消費者の被害やリスクを減らすことのできる合理的な代替設計を採用することができたにもかかわらず、これを採用しなかったと認めるだけの証拠もないと判示しました。
表示上の欠陥については、マスコミ報道や法規制等を通じてタバコの有害性は社会全般に広く認識されており、喫煙を始めるかどうかと喫煙を続けるかどうかは自由意思による選択の問題であり、被告らが法律の規定による警告文言の他にさらに説明や警告その他表示をしなかったからといって表示上の欠陥が認められるとは見做せないと判示しました。
安全性の欠陥については、国は法律的、社会的にタバコを嗜好品として認めてきたこと、喫煙を始めるかどうかと喫煙を続けるかどうかは自由意志による選択の問題であるという点などを挙げ、これを否定しました。
また、大法院は被告が以前から吸っていたタバコや他のメーカーなどが製造したタバコとは異なる特別な危害性があるという情報を得たり、危害性を高める可能性がある行為をしたなどの特別な事情がない限り、被告が情報を全て公開する義務を負うわけではなく、上記のようなタバコの危害性に関する情報を隠蔽したとみる証拠もないと判示しました。
さらに因果関係については、疫学的因果関係が認められるとしても、肺癌は喫煙でのみ発生する特異的疾患ではなく、物理的、生物学的、化学的因子など外的環境因子と生体の内的因子の複合的な作用によって発病し得る非特異的疾患なので、ある特定の喫煙者が喫煙をしたという事実と上記のような非特異的疾患にかかったという事実だけでは、両者間の個別的な因果関係を認め難いと判断しました。第二審は、扁平細胞癌と小細胞癌の場合、疫学的因果関係が認められると明示的に判断しましたが、大法院はこれに対しては明示的な判断を留保しました。
上記の大法院判決により、約15年にわたり行われてきたタバコ訴訟が最終確定されました。上記判決は現在進行中である他のタバコ訴訟にも相当影響を与えるとみられます。
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