最近、韓国大法院では、模倣商標を制裁する規定である商標法第7条第1項第12号1で要求する「不正の目的」の判断時に、登録無効対象商標の指定商品と先使用商標の使用商品との牽連性によって「不正の目的」の有無の判断を異にした判決(バービークイーン事件及び「 」事件)を原審法院に破棄差戻しとし、注目を集めている(大法院2014.1.23.言渡し2013フ1986判決及び2014.2.27.言渡し2013フ2484判決)。 |
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特許法院の判断 |
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特許法院は、商標法第7条第1項第12号の不正の目的の判断時には、1)先使用商標の周知著名性、2)先使用商標の創作性、3)両商標間の類似性、4)出願人と先使用者との間の商標に関する交渉の有無及びその内容、ならびに5)両商標の商品間の同一・類似性ないし経済的牽連関係の有無などが考慮されなければならないと前置きしたあと、まず「バービークイーン」無効審判事件では、登録無効対象商標である「バービークイーン」が、ⅰ)人形及び玩具類で周知著名な先使用商標「BARBIE」と類似し、ⅱ)先使用商標は創作性が高い商標であり、登録権利者が偶然の産物としてこれと類似の商標を創作したとは見難いとして、先使用商標の使用商品である人形及び玩具類と牽連関係がある対象商標の指定商品「化粧品及び美容用品」については不正の目的を認め、「通信講座業、大衆入浴湯業、マッサージ業」などについては「人形及び玩具類」と経済的牽連関係が弱く不正の目的が認められないと判示して、一部無効判決を下した。 一方、「 」事件でも、先使用商標「 」が著名性を取得したかばん類と経済的牽連関係がある指定商品についてのみ不正の目的を認め、関係が弱い「ペット用衣類、ステッキ」等については不正の目的がないと判示した。 このように、特許法院は商標法第7条第1項第12号の判断時、登録無効対象商標の指定商品別に使用商品との牽連関係をみて、不正の目的を判断する傾向を見せていた。
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大法院の判断 |
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しかし、大法院は、先使用商標の周知著名性や両商標の間の類似性以外に、対象商標の指定商品に先使用商標の使用商品と経済的牽連関係がある指定商品が多数「含まれて」いる点も不正の目的を認めることができる根拠であるとして、対象商標の一部指定商品は経済的牽連性が低いとしても、これを指定商品別に判断するのではなく、指定商品全体が不正の目的に基づく出願とみるべきであるとの立場をとった。 |
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コメント |
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これまでの特許法院判決の傾向によれば、不正の目的が認められるためには先使用商標の使用商品と登録無効対象商標の全ての指定商品との経済的牽連性を個別に立証しなければならないという負担があったが、今回の大法院判決により、対象商標に経済的牽連関係がある商品が多数指定されているのであれば、一部牽連性の低い商品が含まれていても、全指定商品について不正の目的に基づく出願と認めることができる根拠が生まれたという点で大きな意味がある。 |
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1 商標法第7条第1項第12号(日本商標法第4条第1項第19号の規定に相当):国内又は外国の需要者の間に特定人の商品を表示するものであると認識されている商標(地理的表示を除く)と同一又は類似の商標であって、不当な利益を得ようとし、又はその特定人に損害を加えようとする等、不正の目的をもって使用する商標 |
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